「股関節の理学療法」Q&A

「股関節の理学療法」にご参加いただいた皆さまからの質問にお答えします!

Question5 

腰椎安定化筋群の中に腹横筋が入っていますがどのように他二つの筋と関与してくるのでしょうか。

 

 

Answer

起立着座の講習会で詳しくやりますが、腹横筋は白線から始まって胸腰筋膜を介して脊柱に至り、腹腔を構成する主要素として機能しています。また、胸腰筋膜は多裂筋を包み込んで脊柱棘突起と横突起に付着します。さらに骨盤腔の中で骨盤底筋とも連結しています。腹横筋は腹腔内圧を高める作用と、胸腰筋膜を介して腰椎を伸展させる作用、さらに横突起を左右に引っ張って、腰椎の屈伸軸を形成して腰椎の安定化機構に対する作用を有すると考えられています。もしも腹横筋が収縮していない状況で、多裂筋や腸腰筋が収縮したら、腰椎の屈伸軸が定まらず、かなり不安定な運動になるはずです。事実、腹横筋が胸腰筋膜を牽引すると多裂筋の活動が促されることがわかっています。

これは我々の臨床観察から推測している事ですが、腹横筋が収縮してくれないと多裂筋が抑制されてしまうのではないでしょうか。よって、多裂筋と腸腰筋、腸腰筋と内閉鎖筋、内閉鎖筋と骨盤底筋、骨盤底筋と腹横筋、腹横筋と多裂筋 これらの筋群は活動が連動しており、いずれかの筋の活動不全が連鎖的に他の筋へも影響を及ぼすということになります。