「股関節の理学療法」Q&A

「股関節の理学療法」にご参加いただいた皆さまからの質問にお答えします!

Question10

大腿骨頭置換術後の患者様で当院では外旋筋群を切離してしまうのですが、そうすると骨頭安定化させる機構が失われてしまうと思います。その場合は骨盤前傾位で対側性運動連鎖を行いカップにハマりやすくなるような位置が重要かと思います。筋の動的安定として、小殿筋に着目されてる方もいるのですが、小殿筋は骨頭安定化させる筋となりうるのでしょうか?

 

 

Answer

小殿筋は関節包に付着を持ち、外転筋群の中でも最深層に位置するのですが、小殿筋のベクトルは骨頭を上方へ引き上げる作用を有しているため、直接的に骨頭を臼蓋に対して求心位に保持する作用はなさそうです。

臼蓋を屋根に例えると、その屋根に骨頭を押し付ける作用はあると思います。また、側方安定性に関与して、二次的には骨頭の安定化にも寄与すると思います。

外科手術で閉鎖筋や双子筋が切離されているケースでは、残念ながら骨頭を求心位に牽引する筋が無くなるため、直接的な股関節の安定化作用は期待できなくなります。そのため、健側の閉鎖筋と腸腰筋、多裂筋の共同収縮から、患側の多裂筋を賦活化させて、骨盤のアライメントを制御して臼蓋の深い部分を骨頭上に配置させるようにする練習を行います。