「股関節の理学療法」Q&A

「股関節の理学療法」にご参加いただいた皆さまからの質問にお答えします!

Question1 

腸腰筋についてです。座位での骨盤前傾運動は、主に腸腰筋の収縮にて行っていると思い、腸腰筋がターゲットになるトレーニングだと考えていました。しかし、今回の講義の中で、座位で骨盤を前傾する際、大腿骨頸部の前捻により、上方を向いた骨頭を、大殿筋上部繊維の収縮にて下方に向かせることで、骨盤の回転が促せるということを知り、この時、腸腰筋はどの程度関与しているのか?疑問に思いました。大殿筋上部繊維によって、大腿骨が内旋し、運動連鎖で骨盤が前傾するのであれば、腸腰筋はさほど活動していないということでしょうか?

 

 

Answer

骨盤を後傾から前傾させ、その時に腰椎の前彎を保持するような運動では、腸腰筋と多裂筋が主動作筋になります。大殿筋上部線維はあくまでも骨頭を下げて運動連鎖で骨盤前傾が起きやすい環境を作っているという役割です。

では、なぜ大殿筋上部線維からの操作で、骨盤前傾と腰椎前彎が誘発できたかというと、実は大殿筋上部線維は、L5に付着する多裂筋と連結していて、大殿筋の張力によって、多裂筋が賦活化され、それによって腸腰筋が賦活化するという筋活動の連鎖が起きたからだと考えられます。