「歩行のバイオメカニクスと理学療法」Q&A

「歩行のバイオメカニクスと理学療法」にご参加いただいた皆さまからの質問にお答えします!

Question7

立脚終期で、下腿三頭筋の遠心性収縮か腸腰筋の遠心性収縮のどちらが問題となっているかを確認したい場合はMMTでの評価で良いのでしょうか?MMTとは収縮様式が違うので、他に確認する評価方法があれば教えて頂きたいです。また腸腰筋の遠心性収縮が原因で立脚終期が困難となっていた場合に個別でトレーニングできる良い方法があれば教えて頂きたいです。

 

 

Answer

例えば、立位から反対側の下肢を一歩前に踏み出す評価を行います。

この時、セラピストが股関節を保持して腸腰筋の代わりに外から力を補助してあげれば、安定して反対側を一歩前に振り出せて、かつ立脚側の股関節が伸展して立脚後期の形がつくれるとしたら、腸腰筋の遠心性収縮が不足していることが原因ですね。

もし、上記の操作でも股関節が伸展できない場合には、下腿三頭筋の遠心性収縮が上手く行かない事を疑います下腿三頭筋の評価は、以下の手順で行うと良いと思います。

①まず下腿三頭筋が遠心性収縮が行えず、足関節を背屈できない可能性を疑う。そこで、3cm程度の板を踵の下に置いて、踵を高くした立位姿勢を取ります。そこから先ほどと同様に反対がの下肢を一歩前に踏み出してもらう。踵を板で持ち上げているので、足関節が背屈できなくても股関節が伸展できるので、この方法だと股関節が伸展できる場合には、下腿三頭筋が遠心性収縮ができなくて、立脚後期が作れないと判断できます。

➁下腿三頭筋の遠心性筋力が不足している可能性を考える場合。①の方法でも股関節が伸展できず、さらに腸腰筋の可能性も前述の評価で棄却されている場合、下腿三頭筋の遠心性筋力の不足を考えます。腸腰筋の評価と同様に、立位姿勢から反対側の下肢を前方に振り出させます。その際、セラピストが支持脚の下腿を前方から支えて、前に倒れる速度をコントロールできれば、股関節が伸展できるとすると、下腿三頭筋の遠心性筋力の低下が原因だと考えられます。